「子供には将来英語を話せるようになってほしい」
「自分が英語で苦労したから、子供には同じ苦労をさせたくない」
このように、お子さんに英語を使えるようになってほしいと思っている親御さんは多いのではないでしょうか。
私は中学校から英語を始め、大学では海外留学も経験し、現在は外国人上司のもとで英語を使って働いています。しかし、自分の英語力、特にリスニングとスピーキングには満足できていません。
「もっと子供の頃から英語に触れていれば」と思うことがあります。
我が子にはそういった思いを抱いてほしくないですし、将来英語で苦労しないよう、できる限りのことはしてあげたいと思っています。
親としてできることといえば、幼児のうちから英語に触れさせてあげることです。
日本で普通に暮らしていれば英語を使うことはまずないため、親が意識して英語の環境を提供しなければなりません。
「子供に英語を吸収させたいけど、どうしたらよいのかわからない」という親御さんも多いのではないでしょうか。
私も息子が2歳になったときに「おうち英語をやってみよう」と一念発起しましたが、最初は何から始めたらよいかわかりませんでした。
英語育児関連の本を読み漁って勉強しました。
この記事では、私の経験も踏まえ、1歳、2歳、3歳といった幼児期の子供を英語に触れさせるにはどのような方法があるのかを紹介します。
インターナショナル保育園のように第三者に任せるやり方もありますが、私が紹介したいのは自宅で親子で行う「おうち英語」です。
私の2歳の息子にも実践しています。
紹介する方法の中には、難易度が高いものやお金がかかるものも含まれています。ご自身の状況を踏まえ、実践できるものから試してみてください。
インターナショナル保育園 (費用★★★★★★★★★★)

厳密には「おうち英語」ではありませんが、お子さんに英語に触れてもらう方法のひとつとしてインターナショナルプリスクールについて触れたいと思います。
幼児への英語教育でまず思いつくのが、インターナショナルプリスクールでしょう。
ひとことでインターナショナルプリスクールといっても、その種類はさまざまです。
園内の生活をすべて英語で行うインターナショナル保育園・幼稚園もあれば、日本語と英語を併用するバイリンガル保育園・幼稚園もあります。
インターナショナル保育園であれば園にいる間は完全に英語環境になるため、英語能力は飛躍的に向上するでしょう。
ただ、幼児にとっては1日の大半を保育園で過ごすことになるため、母国語である日本語が疎かになるというリスクもあります。
家庭で日本語を使っているのであれば、それほど気にならないかもしれません。
その点、バイリンガル保育園であれば、日本人の先生と外国人の先生が日本語と英語で話すため、両方をバランスよく伸ばせるメリットがあります。
インターの難点はその高額な費用
インターナショナル保育園とバイリンガル保育園は幼児の英語力を伸ばすには最高の環境といえますが、問題はその費用です。
地域や運営会社によっても学費はさまざまですが、インターナショナル保育園やバイリンガル保育園の年間の学費は200万円-300万円ほどです。学費に加えて施設利用料、入学金といった費用も必要です。
以下は都内のとあるインターナショナル保育園の必要経費です。
費用 | 金額 | 支払頻度 |
---|---|---|
入学金 | 320,000 | 入学時のみ |
施設使用料 | 320,000 | 入学時のみ |
授業料 | 2,120,000 | 年ごと |
施設維持費 | 200,000 | 年ごと |
給食費 | 153,000 | 年ごと |
バス送迎費 | 350,000 | 年ごと |
初年度合計 | 3,463,000 |
我が家のような一般的な会社員夫婦からすると、この学費を捻出するのは厳しいです。
子供1人なら無理すればなんとかなるかもしれませんが、2人となると家計が崩壊します。
私の近所にバイリンガル保育園がありますが、冬に子供の送迎をしている親を見ると、大抵がモンクレールのダウンコートを羽織っています。
ユニクロのダウンで送迎している私との生活レベルの違いを感じます。
無理してインターに入園させても、周りとの生活レベルの違いに苦労しそうです…
インターナショナル保育園やバイリンガル保育園は「選ばれし者」に与えられた選択肢といえるでしょう。
幼児向け英語学習教材 (費用★★★★)

ここからは、インターナショナルスクールに頼らずに「おうち英語」でお子さんに英語に触れてもらうにはどんな方法があるのか紹介します。
最初に紹介するのが、幼児向け英語学習教材を使って自宅で英語学習に取り組む方法です。
英語学習教材は制作している会社によって内容が異なりますが、多くの場合英語のDVDやCD、絵本、カードなどが自宅に配送されます。
親がサポートしながら、届いた教材を使って子供を英語に触れさせていきます。
「おうち英語」界隈で人気の”DWE” (ディズニー英語システム)
数ある学習教材の中でも人気なのが、DWE(”Disney World English”, ディズニー英語システム)です。
DWEには英語のCD、DVD、絵本、カード、タッチペンなどといった様々なツールが用意されています。
メインコンテンツであるCDやDVDで英語の歌を掛け流して英語耳を鍛えるとともに、絵本やカード、タッチペンを使って遊びながら英語を自然に習得できる仕掛けになっています。
ネイティブ講師との電話レッスンやネイティブ講師と実際に会える会員限定イベントもあったりと、アウトプットの場を提供しているのもDWEの特徴です。
DWEは豊富なコンテンツを取り揃えている分、フルパッケージで購入すると100万円ほどかかります。
ただ、対象年齢が0歳-12歳となっているため、0歳で購入して12歳まで使えば、年間で約8万円です。
月あたり7千円と考えれば、非現実的な金額でもないでしょう。
また、すべてのコンテンツを購入しなければいけないわけではなく、必要な教材のみの購入もできるので、予算に応じて教材を取捨選択できます。
我が家の息子はDVDの子役の女の子に夢中
我が家では「シングアロング」というDVD教材で英語の歌の掛け流しをしています。
シングアロングの約130曲の歌の中には、日常生活で使われる表現が入っているので、映像と歌を楽しみながら英語を吸収できる仕組みです。
2歳の息子はJennaという子役の女の子が出てくると大興奮します。
DWEの他にも選択肢はある
「DWEは魅力的だけど、ちょっと高額すぎる」と思う人もいるでしょう。
DWEの他にも、ミライコイングリッシュ、サンリオイングリッシュマスター、パルキッズなど、いくつもの会社から幼児向け英語学習教材が販売されています。
多くの教材が無料サンプルを提供しているので、気になる方は資料請求してみましょう。
英語の絵本読み聞かせ (費用★★)

絵本を通してお子さんを英語に触れさせるという方法もあります。
多くの親御さんは普段からお子さんに絵本を読んであげていると思います。
幼児は絵本を読むのが大好きで、私の2歳の息子も毎日何冊も絵本を読んでいます。
おすすめ英語絵本が気になる方はこちらの記事も併せてご覧ください。
最初は文字の少ない絵本から
普段は日本語の絵本を読んでいると思いますが、読む絵本を英語のものに変えてみましょう。
最初は短い英文のものから挑戦するのがポイントです。いきなり長文の絵本にしてしまうと、子供は内容が理解できずに飽きてしまい、その絵本を読みたがらなくなってしまいます。
英語の絵本を嫌いになってしまうのだけは避けたいですよね。
2歳児だからといって、いきなり2歳児向けの英語絵本を読んであげても難しすぎると思いますので、0-1歳向けの文字の少ないものから徐々に難易度を上げていくのがおすすめです。
図書館で英語絵本を借りればコストがかからない
「英語の絵本は高額だから、子供が気に入るか分からないのに何冊も買えない」という人も多いでしょう。
我が家の場合、絵本はほとんど図書館で調達しています。図書館で借りた本であれば、もし子供が全く読みたがらなくても返せば済むことです。逆に、何度も読みたがる絵本は何度も借りて読み聞かせています。
私の近所の図書館は本をネット予約できるので便利です。
我が家の息子のお気に入り、”Ketchup on Your Cornflakes?”
2歳の息子が好きな絵本のひとつが、”Ketchup on Your Cornflakes?”です。
絵本が上段と下段に分かれていて、いろいろな組み合わせで”Do you like〜?”の問いかけをできる仕掛けになっています。
“Do you like toothpaste”という上段に “on your head?”という下段を組み合わせて、”Do you like toothpaste on your head?”と聞くと、息子は”No, no!”と嬉しそうに反応してくれます。
英語の読み聞かせにYouTubeを活用
「自分は英語が話せないから英語の絵本を読めるか心配」という親御さんもいるでしょう。
でも、心配ありません。私は子供に読んであげる前に読む練習をしています。わからない単語があればネットで調べています。
YouTubeで絵本のタイトルで検索すると、ネイティブが朗読している動画も簡単に手に入りますので、その動画を流すか、動画で発音を学んでから読むのもよいでしょう。
子供には本を読む習慣をつけられますし、親子で英語の学習ができますので、英語絵本は大変おすすめです。
YouTube (費用★)

YouTubeを使って子供の英語耳を鍛えるという方法も効果的です。
普段お子さんにYouTube動画を見せている親御さんも多いのではないでしょうか。
動画を見せている間に家事を済ませることができるので、我が家でも重宝しています。
普段は日本語の動画を見ていると思いますが、YouTube動画のコンテンツを英語のものに変えることで楽しみながら英語耳を鍛えることができます。
子供は興味を持った動画には食いつきますので、繰り返し同じ英語を聞くことで動画のセリフや歌を口ずさむようになります。
子供はマネの天才なので、聞いた英語をそのまま発音します。
適切なコンテンツを見つけるのは意外に難しい
YouTubeの難点としては、適切な動画コンテンツを見つけることが難しいという点です。
海外の幼児向け番組の動画から見せるのが一般的ですが、アクションや映像ばかりで英語での会話や歌が少ない動画も多いです。英語に触れさせるという意味では効果が薄くなってしまいます。
また、2歳くらいになると気に入らないものは見ようとしませんし、すでに見慣れた日本語のコンテンツがあれば、そちらに変えるようせがまれることも多々あります。
我が家でも親としては英語の動画を見せたいのに、息子が「これじゃない!」と泣いてしまって苦戦することがありました。
さすがに無理強いはできないので、息子が気に入らなければ諦めます。
難しさもあるYouTubeですが、何よりコストが全くかかりませんし、ハマるコンテンツを見つけることができれば子供はどんどん英語を吸収していきます。
我が家の息子が好きな“Blippi”お兄さん
私の2歳の息子は“Blippi”というアメリカ人のメガネをかけたお兄さんのチャンネルが好きです。
息子の好きなショベルカーやブルドーザーを運転する動画や、野球場に行って遊ぶ動画の中で、Blippiがコミカルな動きで子供を惹きつけるので、息子も飽きずに観ています。
幼児のうちからテレビや動画を見せすぎない方がよいという研究もあります。動画を見せる時間には注意しながらも、YouTubeをお子さんの英語習得に活用していきましょう。
海外アニメ (費用★★)

英語のアニメをお子さんに見せるという手もあります。
日本の子供であればアンパンマンなどのアニメが好きだと思います。好きなアニメであれば時間も忘れて集中して観る子も多いでしょう。
アニメが好きという子供の特性を活かして、海外のアニメを見せることで、楽しみながら英語のリスニングができてしまいます。
アニメはキャラクター同士の会話が多いので、子供がそのまま使える英語を学べるのがメリットです。
繰り返し同じアニメを見ることで、好きなキャラクターのセリフを真似ながら英語を吸収できます。
ただ、アニメはある程度ストーリーがわからないと子供が飽きてしまうので、おうち英語を始めたばかりの段階で海外アニメを導入するのは難しいかもしれません。
歌の動画などで英語に慣れてきてからアニメに挑戦するのがおすすめです。
ひとことで海外アニメといっても、その種類は豊富にあります。例えば日本ではおさるのジョージで知られる“Curious George“やネズミの“Maisy”、豚の家族の“Peppa Pig”といった海外アニメが有名です。
YouTubeで無料で見られる海外アニメも多いので、いろいろなアニメを試してお子さんがハマるものを見つけてみてください。
我が家の2歳の息子は”Peppa Pig”
私の息子には”Peppa Pig”という豚の4人家族のアニメを見せています。”Peppa Pig”は1話が5分前後と短く、子供が飽きずに最後まで見れるのがメリットです。
“Peppa Pig”のエピソードの1つに”Muddy Puddles”(水たまり)という話があります。主人公である女の子Peppaが靴のまま水たまりに入ろうとした弟Gerogeに対して、”If you jump in muddy puddles, you must wear boots.”(水たまりに入る時は長靴をはかないとダメだよ)とお姉さんらしく教えるシーンがあります。
このエピソードを見てから、2歳の息子は水たまりを見つけても、靴を履いているときは「長靴をはかないと水たまりは入っちゃいけないんだよ」と言って水たまりに入らなくなりました。
息子は水たまりを見ると、”Muddy puddles!”と言ってはしゃぎます。
オンライン英会話スクール (費用★★★)

キッズ向けのオンライン英会話スクールなら、「おうち英語」でも英語のスピーキング力を伸ばせます。
普段の生活では英語を話す機会がないため、英語の掛け流しでリスニングを鍛えることはできても、スピーキング力を伸ばすことが難しいのが「おうち英語」の弱点でしょう。
オンライン英会話スクールを使えば、自宅でも気軽に外国人講師と英会話ができます。
キッズ向けのオンライン英会話サービスを提供しているスクールもあります。子供目線で優しく話しかけてくれる講師や、キャラクター講師もいて、幼児でも怖がらずにレッスンが受けられる工夫がされています。
オンライン英会話スクールのネイティブキャンプでは、Teddyというかわいい熊のキャラクター講師がレッスンをしてくれます。

ネイティブキャンプは親がすでに受講者であれば家族は月額1,980円でレッスンを受けられるのでお得です。

ネイティブキャンプ以外にも子供向けのレッスンを提供しているスクールはいくつもあります。
無料体験レッスンを提供しているスクールがほとんどですので、少しでも気になるスクールがあれば積極的に体験することをおすすめします。
オンライン英会話は3歳から
オンライン英会話スクールの留意点として、年齢制限があることが挙げられます。
キッズ向けのオンライン英会話スクールであっても、最低年齢が3歳というところが多いです。
とはいえ、0-2歳でパソコンの前で大人しくレッスンを受けられる子の方が少ないと思います。その間は英語の掛け流しや絵本などでインプットに集中し、3歳になったらオンライン英会話デビューを飾りましょう。
英語での語りかけ (費用★)

おうち英語を始めるなら、親御さんがお子さんに英語で話しかけることにもぜひ挑戦しましょう。
いくら動画などで英語に触れていても、日常的に使用していないとアウトプットの機会がありません。
インターナショナルスクールに通っていれば、日常生活でインプットもアウトプットもしているのでどんどん英語を吸収できますが、インターナショナルスクールに通わせられる家庭ばかりではないでしょう。
高額な学費を考えると、我が家のような一般家庭ではインターは厳しいです…
「日常的に英語に触れさせたい」と思うのであれば、親がお子さんに英語で話しかけてみましょう。
自宅にいる間は主に両親とのコミュニケーションとなるでしょうから、親子の会話を英語ですることで一気に英語に触れる時間が増えます。
普段の日常会話を英語にするので、子供も自分事として英語を聞くようになります。
我が家は父は英語縛り・母は日本語
我が家の場合、父である私は英語で息子に話し、母である妻は日本語で話しかけています。
朝一緒にご飯を食べるとき、おもちゃで遊ぶとき、公園に遊びに行ったとき、お風呂に入るときなど、私が息子と行動する際はほぼ英語で話しかけます。
息子は私の英語での語りかけの半分くらいは理解しているようで、英語での指示には従いますし(イヤイヤ期で拒否することもありますが)、語りかけに対して受け答えもできています。
ただ、私の英語に対して日本語で返すことが多く、英語での発話はまだまだこれからというところです。
たまに息子から英語で返事が来ると密かに感動します。
ハイレベルな英語は必要ない
「英語で子供に話しかけるなんて無理」と思う人もいるかもしれません。英語が苦手な人もいるでしょう。
でも大丈夫です、英語がペラペラ話せないからといって英語での語りかけを諦める必要はありません。
幼児との会話に込み入った文法は必要ないのです。中学生で習った英語で十分対応できます。
3語程度の短文がほとんどです。
ただ、子供との日常生活で使用する単語や言い回しは学習する必要があります。
私は上司が外国人のため、仕事で英語を使用しています。しかし、普段から英語を使っている私でも息子との会話では「これって英語で何と言うんだろう」となることは日常茶飯事です。
例えば、「お片付けしなさい」「よく噛んで」などと指示をしたい場合、英語ではどう言えばよいでしょうか。
“put your things away”, “chew it well”といった英語がすぐに浮かぶ人は少ないでしょう。
このような英語は学校では習ってきませんでしたし、大人との会話では出てくることもありません。
子育て特有の英語表現はたくさんありますので、英語が得意か不得意かに関係なく、子供と一緒にひとつひとつ覚えていく必要があります。
多くの場合、子供にとっての一番のコミュニケーション相手は両親でしょう。
その親が英語で話しかけることにより、子供は英語を身近に感じることができます。これは動画や絵本では得られない体験になりますので、ぜひ英語での語りかけにチャレンジしてみてください。
まとめ
今回の記事では、幼児のお子さんに英語に触れてもらうにはどのような方法があるのかについて紹介しました。
インターナショナルスクールに通わせられる家計の余裕がないからといって、お子さんの英語教育を諦める必要はありません。
「おうち英語」でも英語教材、YouTube、アニメ、絵本といった媒体を使ってお子さんに英語を吸収してもらうことは可能です。
お子さんによって合うものと合わないものがあるはずですので、いろいろと試してその子に合ったやり方を確立していきましょう。
我が子もそうですが、おうち英語を続けていくうちに英語の指示を理解し出したり、ある日急に英単語を喋り出したりと、子供はどんどん英語を吸収していきます。
小さな「できた!」をモチベーションにして、一緒におうち英語を続けていきましょう。